『筋肉を維持して健康寿命延伸』

健康運動指導士 大 方  孝

 私たちのカラダの筋肉は加齢に伴い減少します。その結果、より少ない筋肉でカラダを支え動かすので疲れやすくなります。そうするとカラタ゛を動かすことが億劫になり、動かないとますます筋肉は衰えるという悪循環に陥ってしまいます。

身体を動かさないでいると、30歳から人間の筋肉は1年に1%ずつ減少していき、70歳になると40%の筋肉がなくなってしまいます。筋肉には、①カラダを支える。②カラダを動かす。③血液の循環を助ける。④糖や脂肪を代謝し産熱する。等の働きがあり、筋肉の減少はこうした機能の低下をもたらします。筋肉が減少すれば代謝が悪くなりカラダに脂肪がつきやすくなります。

疲れるからといって活動量が減れば脂肪はさらに蓄積し、太りやすい体質になっていきます。

また、体脂肪を減らそうと無理な食事制限やダイエットは、かえって筋肉を減らす悪循環に繋がり寝たきりに至る危険が高い状態となる「サルコペニア」になる危険が高くなります。特に女性は、同体格の男性に比べて筋肉量が6割程度しかないので、筋肉減少の悪影響の度合いが増します。

また、筋肉がカラダを支えられなくなると、骨・関節・靭帯などの負担も増し、腰や膝の痛み、尿漏れ等も引き起こし、日常の歩行や階段の昇り降りも一苦労するなど移動能力が低下する「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」に繋がり転倒骨折などに繋がる恐れも、さらに代謝が低下すれば、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群) のリスクも高まり心臓循環器系の疾患などの生活習慣病の恐れも高くなります。筋肉は何歳になっても増やすことが出来るという研究データもありますので、何歳になっても健康に過ごしていくには、筋肉量を維持することが欠かせません。

休日にゴロゴロと寝ている人、慢性的に運動不足の人などや腰痛や膝等の関節疾患や骨粗鬆症の方には、水中ウォーキングなどの水中での運動がお奨め。水中での立位の運動は、水の物理的な特性を利用して高い運動効果を得られ消費カロリーも多く代謝もアップ出来る優れ者です。

また、全身を使う有酸素運動として血管を活性化させるので老化を予防し若さを保つ効果が大きいと言われています。

水はちょっと苦手という方には、ノルディック・ウォークがお奨め。ノルディック・ウォークは、両手にグリップがついた2本の専用ポールを交互に地面突きながら歩く運動法。ポールを突くことで身体の90%の筋肉を使う全身運動になります。さらに、ポールを使うことで歩幅が広くなり、歩行速度も上がります。このことから有酸素運動としての高い効果がもたらされます。 転倒予防姿勢の改善シェィプアップ効果血行の改善にも効果があり、しかも通常のウォーキングの効果を高め、より短時間で安全に運動効果が得られる効率の良いウォーキング法です。

普段はストレッチングやウォーキングなどで今より10分多く(=プラス10)体を余計に動かすようにしましょう。そして休日には、まとめてライフスタイルに合った運動を行うようにしましょう。

そうは言っても、自分一人ではなかなか運動を始められないし、まして運動を続けることはハードルが高いと思っている方には、健康運動指導士など専門指導員がいる運動施設で健康づくりに適した運動プログラムに参加することをお奨めします。運動施設等の運動教室に参加するというような社会参加は、脳機能を活用し認知機能を維持することに役立つばかりでなく、身体活動量を増やし運動機能を維持することにも効果があります。

勿論、どなたでも、お好きな時に、お好きなエクササイズを組み合わせて行えば、サルコペニア、ロコモやメタボを予防し、要介護予備軍とならず、健康寿命の延伸を図るだけでなく、明るく楽しく健康な毎日をお過ごし頂けること請け合いです。

最後に、手足やカラダの一部が冷えやすいなど血行が良くない場合は、カラダを温めるような工夫をして代謝の促進を図ることが重要です。効果が高いのは、なんと言っても入浴です。特に炭酸ガス入りの入浴剤(高濃度炭酸が温浴効果を高め血行を促進)を使うのも有効です。その他マッサージや温熱シート等も血流やリンパの流れを促進する効果があります。健康に過ごしていくためには筋肉をケアして筋肉の健康状態を維持するのも大切です。

さあ、始めましょう!貴方も健康生活。

以上