2022日本ノルディック・ポール・ウォーク学会学術大会報告

健康運動指導士・JNWL指導部講師 大方 孝

 いつもお読み頂き有難うございます。

去る10月22日(土)午前10時から、昨年に続きオンラインで日本ノルディック・ポール・ウォーク学会学術大会2022が開催されましたのでご報告します。

学術大会は、医療法人社団 神奈川巨樹の会 みどり野リハビリテーション病院 丸谷龍思先生の開会の挨拶から始まりました。第1部 座長は、独立行政法人労働者健康安全機構 関東労災病院 心臓血管外科 川内基裕先生が務められ、医療法人慶泉会 町田慶泉病院 神経内科 高橋裕秀先生の「パーキンソン病早期からのエクササイズ ノルディックウォークの役割」

続いて、「メタボリックシンドローム2型糖尿病を伴う下肢変形性関節症患者に対するメディカルポールウオークを取り入れた運動療法」について 東都大学幕張ヒューマンケア学部理学療法科横地政裕先生が発表され、次に「循環器疾患と運動療法 ―高齢者慢性心不全に対する運動療法― 」を一般社団法人 巨樹の会 下関リハビリテーション病院 リハビリテーション科 林 研二 先生が発表されました。今回の発表においてパーキンソン病、2型糖尿病、慢性心不全などの疾患のリハビリとして2本のポールを用いたノルディックウォークが運動療法として有用であるとの報告があり、あらためてノルディックウォークの効果効能を再認識いたしました。

第2部では、ノルディックポールを製造している協賛会社から(株)キザキ、(株)シナノ、(株)ハタチ工業、(株)ミズノの製品紹介(50音順)やポールの特徴などの説明が行われました。

第3部では、「水中ポールウォーキングの指導の実際」という表題で指導員の立場から日頃の取り組みを紹介させて頂きました。

最後に学会長の東京大学大学院 総合文化研究科教授 中澤公孝先生より挨拶があり閉会となりました。

第3部の発表の概要は以下の通りです。

詳しくは、「Medical Nordic WalkingⅢ」水中ポールウォーキング 宮下充正監修 

一般社団法人全日本ノルディック・ウォーク連盟発行 をご参照ください。

「水中ポール・ウォーキング指導の実際」

IN AQUA SANA EST”「水は健康のもと」 これは古代ローマ時代の浴場の壁面書かれていた言葉だそうです。古代ローマ人は、水の効能を理解していたようです。水中において身体は、水温・水圧・浮力・抵抗(粘性)などの水の物理的特性を受け陸上とは異なる生理的な応答を示すことが知られています。水の物理的な特性は水中での運動時に様々な作用を及ぼします。これらの特性を有効に活用することで陸上とは異なった効果的なトレーニングの設定が可能となります。水が持つ特有な性質により陸上と水中とでは身体が受ける生理的な負荷量が異なり、関節・筋肉・靭帯等に過度な力を加えることなく安全に運動を行うことが出来るとされています。

 水中運動を行うことは、陸上で出来ることを水中環境で応用するだけでなく、水中運動でなければ得られない効果を主目的に行われる必要があり、本プログラムの構成要素・健康運動の基本概念としてNAPSがありますN…神経筋協応運動、②A…有酸素性運動、③P…筋力アップ(無酸素性運動)、④S…ストレッチング これら4つの要素を上手く調和させることが重要な点で、運動の目的によりNAPSの時間的量的な割合の設定を考慮することで、より効果的なプログラムの設定が可能となります。

中高齢者が健康的で活動的な生活を維持するためには運動器の機能を維持増進させることが求められ、日常生活だけでは保持することが難しい機能低下を予防改善するための水中運動プログラムでは、神経協応運動、有酸素運動、ウォーターレジスタンスエクササイズ、アクアストレッチングを中心とした中高齢者のためのアクアエクササイズを実践します。

このことから水中運動、水中ポールウォーキングは、健康づくりに大きく貢献し高齢者や障がい者などの健康づくりを支える手立てとしても有用です。また、水中運動の機能改善、動作改善プログラムは、健康づくりの継続的な発展に役立つ手段としても大いに期待されるところです。

運動は継続することが大切です。年間を通じて運動を続けることはすべての人の心とカラダに有益です。健康を維持するには、バランスの取れた食事や良質な睡眠が大事。つまり運動・栄養・休養に不足が生じないように日々心掛けることが求められます。

日本ノルディック・ポール・ウォーク学会学術大会で示唆されたエビデンスにもある通り、2本の魔法の杖(ポール)を用いるノルディック・ウォークと水中ポールウォーキングをご一緒に楽しんでみませんか!?  Let’s Go 健康ウォーク !! 

 最後までお読みいただきありがとうございました。