『上手な水の飲み方』                               

                               健康運動指導士 大方 孝

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今年は、梅雨明け以降全国的に連日猛暑日が続き40℃を超える日もあり、熱中症警戒アラートが連日のように発出されています。東京23区では、7月に熱中症の疑いで死亡した人が123人、救急搬送された人も去年より500人以上増えているそうです。汗をかく量が増える夏場は、水を飲むことで失った水分を補うことが重要です。
さて、今回は「暑い夏の水分補給とその効果」についての記事をご紹介します。

◎「脱水予防のコツについて…いま水分補給が必要か、どうすれば分かる ? 」
米国カリフォルニア大学健康スポーツパフォーマンスチームの栄養士よると、『汗をかく量が増える夏場は、水を飲むことで失った水分を補うことが大切だ。』と指摘している。
朝起きた時、通勤通学で歩いた時、運動をするとき、入浴後、就寝前などにこまめに水を飲めば、水分不足に陥ることなく疲労回復や健康維持役立てることが出来るとしている。
特に加齢に伴い「口渇中枢」(のどの渇きを感じる中枢)の機能が低下している場合があり、汗をかいて水分を必要としている時でも、喉の渇きを感じにくく水分摂取が遅れがちなるので注意が必要だ。
「排尿時に尿を見るようにすると、水分補給が必要かどうかを判断することが出来る。尿の色が、明るく淡い黄色であれば問題ないが、リンゴジュースのような濃い色であると水分が足りていない恐れがあり、水分補給の必要がありとのサインである」と指摘している。
また、水分補給のためにビールなどのアルコールを飲むと、脱水を引き起こす作用がアルコールにはあるので注意が必要だ。水分補給にはコップ一杯の水を飲むことが大切だ。

◎汗で失われた塩分を補給することも大切
水分補給として一度に大量の水を飲むと、かえって体内の電解質のバランスが崩れて体調不良が起こる。過剰な水分摂取に伴い体内の塩分バランスが崩れると、吐き気・頭痛・倦怠感・筋肉痛があらわれることがあり、重症になると意識障害やけいれんなどが起こることもあるという。従って、飲む量はかいた汗の量を目安に補給し、併せて汗で失われた塩分(ナトリウム)を補給することも必要だ。水分とナトリウムを補給するには、低糖質のスポーツドリンクや塩分を含むタブレットを利用するのが手軽な方法だ。夏場の暑い日に2ℓの汗をかいたとして、汗から失われる塩分は、2g程度、1ℓの水にティースプーン半分(1~2g)を溶かした調製水でも代用できる。(体液の塩分濃度は約0.9%)
 多くの人は、電解質を食品から摂取している。葉物野菜やイモ類、豆類、果物、大豆製品、乳製品などには、必須ミネラルが含まれているので積極的には摂るようにしたい。

 ◎水を十分に飲むと食事も改善できる
水を十分に飲むことは、食事スタイルの改善にも役立つことが疫学的研究でも明らかに
なっている。米国イリノイ大学が、18,300人以上の成人対象に、食事調査をした結果、糖質を含む高カロリーの清涼飲料を飲む代わりに、普通の水の摂取量を「毎日1~3カップ増やした人は、1日の総カロリー摂取量が68~205kcal、ナトリウム摂取量が78~235mg減少したことが示され、1日の糖質の摂取量は5~18g減少し、コレステロールは、7~21mg減少した。」このことから水の摂取量を1%増やすと 1日の摂取カロリーが減り、飽和脂肪酸、コレステロール、糖質、ナトリウムなどの減らしたい栄養の摂取量も減少することが分かった。
 

◎腸内環境を健康にして免疫力を高める
水を十分に飲むことは、腸内環境を健康にし、免疫を高めるのにも必要であることが、北里大学や慶応義塾大学の研究で示された。水は、身体の50%以上を占めており、消化吸収、栄養素・老廃物の運搬、体温調節など様々な役割を担っており、生命を維持するために重要なものだ。これまで水分摂取の不足は、糖尿病などの代謝性疾患の発症や早期死亡のなどにも関連していることが報告されていた。研究グループが、マウスに飲水制限をする実験を行ったところ、腸内環境の恒常性が破綻し、病原細菌の排除機能が低下した。
 飲水制限により、腸内通過時間が停滞し、排便量の低下を伴う便秘になり腸内細菌叢の構成も変化し、腸内細菌の総数が増加することが分かった。
 今回の研究では、慢性的な飲水不足は、便秘症を誘発し、腸内細菌叢の構成や数を変化させ、さらには免疫細胞を減少させること、病原細胞の排除機能を低下させることが示された。水分の摂取源の70%~80% は飲水によるものとされ、米国では成人の半数以上が水分摂取の基準を満たして折らず、日本でも多くの人が水分の摂取不足とみられている。
日常的な水分摂取量と消化器系疾患との関連について明らかすることが水分摂取の潜在的な重要性を腸内環境の恒常性維持という観点から理解する上で大切だ。

 水分補給は、脱水予防になるだけでなく、ミネラルバランスを保ちからだの恒常性維持に有用に働き、さらに腸内環境を整え免疫力を高めるなどの効果が見込まれるそうです。
暑さが厳しい夏季の戸外の運動は、熱中症などのリスクが高まるので、運動不足気味の人や運動習慣の少ない人などには、気候の影響を受けない室内プールでの水泳やアクアエクササイズ、水中ポールウォーキングなどの水中での運動がお奨めです。
 しっかり水分補給を行い、適度な運動を心掛けてこの暑い夏を乗り切りたいものです。

最後までお読みいただきありがとうございました。