AQUA HEALTH COMMUNICATIONS
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 水想観
Vol.13 平成16年1月

[ 変革者はいつも異端者 ]
 

 新年明けましておめでとうございます。申年の今年、世の中から不安や不幸、不景気などが是非とも「さる」年であって欲しいものです。本紙水想観も2年目に入り、退潮著しいスイミングスクール業界の現況を業界人の一人として「見ざる、聞かざる、言わざる」訳にもいかず、新年早々ご参考までに『SC復活の法則』の第二弾、水中運動の誕生の経緯ついてのお話しを。

 わが国の平均寿命は、女性が85歳、男性が78歳で世界第一位。しかし、よろこんでばかりはいられない。一方では「寝たきり老人」の介護や老老介護といった深刻な社会問題も同時に孕んでいる。そして、高齢社会の進展とともにますます深刻さを増す恐れさえある。

 水の物理的な特性を利用した「立位の運動」に着眼することが出来た理由の一つに祖母の死があった。脳梗塞で倒れ大学病院に運ばれ、容体が安定すると、その後は一定期間で次から次へ転院を繰り返す。その度毎に祖母の自立度が低下して痴呆状態になってやがて亡くなった。この時の体験が「寝たきり予防」「惚け予防」を考える契機となった。世界有数の経済大国であるわが国の「人生の終末」を看取る寂しく悲しい実情を目の当たりにした個人的な体験が水中運動に取り組む強い動機づけとなった。

 二つ目の契機は、平成元年(1989年)に(財)M市福祉公社の「高齢者の生きがいと健康づくり推進事業」の指導を委託され、「高齢者水泳」という分野に参入する機会に恵まれたことだ。その後、1992年の秋にその受け皿となる教室の開設を契機に、水中運動の原型となるプログラムが誕生した。準備体操には、不老体操(ストレッチ とダンベル体操の組み合わせ)さらに水中歩行と水中体操(ウォーターレジスタンスエクササイズ )を行った後、水泳の練習を行うようにしたことが、後々水中運動のプログラムにつながっていくことになった。

 高齢者水泳教室に参集されたシニアの方々の多くは、大抵が運動不足気味であった。中には医者からプールに入ることを勧められて来られる方も多く、その方々には先ず水に慣れていただくことが必要だった。プールに慣れる。練習に慣れるということで、水の中を歩くことから始め、次に水の中で上肢を動かす体操(ウォーターレジスタンスエクササイズ )を行い、低下した筋肉を鍛え、筋力を保持し基礎代謝を少しでも上げて体脂肪の代謝を促進し、荷重負担を減らすようにした。その結果、肥満の予防・解消が図られ、さらに筋力や心肺機能の向上とともに、水泳の技能も習得していただこうという試みだった。

 当時は水中を歩く、水中で体操を行うこと自体が異端者扱いであった。涼しい目で見られ、変わったことしているな、そんな風に見られていたが、この教室に通う会員なかに膝の障害で悩む方がおり、レッスンを重ねる毎に徐々に膝の症状が緩和されてきた。調子がよくなった。ということが口コミで評判が広がった。この様に医師の勧めでプールに入ってみたところ、膝の腫れが引いたとか、膝や腰の痛みが緩和してきたとか、コレステロールや中性脂肪の値が下がり正常値の範囲となった。骨密度が同年齢の健常者並になった。などのという事例が数々報告されるようになり、そのことに刺激されては歩き方や壁を利用した運動やストレッチング、組体操などを次々に考案しては試していった。結果的にそのような試行錯誤が、水中歩行と水中体操のいろいろなバリエーションを生みプログラムの拡充につながった。そして、その水中での運動だけでも十分に効果があることが経験的に実証されて、平成9年の春から水中運動の10週講座の開設をしたところ、大評判となって瞬く間に教室は満員となり予約待ちの状態になった。

 これは単なる自慢話ではない。弱者の戦略−「ランチェスター戦略」でいう「一点集中で地域一番店」を目指した作戦である。スポーツクラブに包囲された弱小スイミングスクールが、厳しい競合の中で生き残りをかけた一つの史実であり、勝ち組になるために挑戦したドラマでもある。これは、けっして「猿まね」ではない、社会的なシーズをキャッチアップし、「横から縦へ」マーケティング論でいうマーケティングインに視点を変えるという「意識の変革」がもたらした成果である。「当たり前のルールこそ疑って見ることだ。」新常識をつくる者は、決まって異端者である。そして、いつも時代が後から追いついてくる。

(有)アクアヘルスコミュニケーションズ
大方 孝

 
 

 

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