AQUA HEALTH COMMUNICATIONS
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 水想観
Vol.10 平成15年10月

[ 水泳帽は、必要ですか?! ]
 

 古来より、たいへん水の豊かな日本では「水と空気」はタダ同然のよう扱われてきた。最近では、ミネラルウォーター(天然水)の消費量もここ10年で約8倍に増え、国民一人当たりに換算すると年間2gのペットボトルを5本飲んでいる勘定になるとか。

 外出の際にミネラルウォーターのペットボトルを持ち歩く光景はけっして珍しいものでなくなり、今や買って飲むミネラルウォーターは、飲み水としていつの間にか市民権を得てしまった。

 日本語では、「水増し」「水膨れ」「水っぽい」「水くさい」「水の泡」とか、水はあまり良い扱いをされてきていないようだ。我々「水商売」にたずさわる者としては、その不当な扱いには少々不満ではあるが、昨今ではガソリン1gよりミネラルウォーター(天然水)1gの方が、値段が高くなるという現象も起きて、タダ同然の水も一転して宝の山に。最近の水や健康に対する人々の関心の高さを伺わせる一つの事例ではないだろうか!?

 同様に、時代や環境が変われば、自ずとその扱いも変化するのが世の習いというものだが、相変わらず時代遅れと言うか、利用者不在の状況が罷り通っている。先月も公設プールの利用規定やその運用が時代に追いついていないと言う事例をご紹介した。今回もその続編。『プールで水中歩行するのに、ナゼ? 水泳帽をかぶらなければならないのか!?』について考えてみたい。

 先ずは、水泳帽の使用について歴史的な考察をしてみよう。現在の様に小学校にプールが設置されるようになったのは、恐らく昭和39年以降、東京オリンピックの頃を境にしてではないだろうか。それ以前は夏休みの時期にだけ隣の中学校などのプールを借りて利用していたように思う。従って、その頃の水泳指導はプールよりは、むしろ海浜で行う方が多かった。(今でも一部有名私立や国立小では海で遠泳が行われているのが証左である。)

@遠泳の場合、海の中で泳者の存在を確認するものとして水泳帽の着用が必要不可欠だった。また帽子に氏名を書いたり、線を入れて泳力を表示したり、つまり泳者を確認する等の指導上の必要性から利用されていたと思う。(赤ふんも疲れて泳げなくなった泳者を船に引き上げる目的で使われている。)

Aプールの普及と共に水泳指導はプールが中心となったが、指導上の必要から水泳帽が使用された。しかし当時のプールは、濾過器が設置してあるものは少なかったので、一定期間(5〜6日間)使用したら水を入れ換え入ていた。従って水質を維持するためにも水泳帽は必要なアイテムでもあった。

Bまた、女性は長い髪では泳ぎにくいので必然的に帽子をかぶって泳いだが、当時男性の場合は髪が短かったので泳ぎの邪魔にはならなかった。(男子選手は当時、大体が坊主頭が多かった。)

Cその後、民間の水泳教室(SC)が流行り出すと、泳法指導の観点から能力を細分化したため、能力の表示用(色別の水泳帽=年齢や能力区分)として帽子の利用が一般化した。

D最近では、男性の長髪が増えたことやスポーツのファッション化に伴いウェア等でお洒落を楽しむ様になった。特に水泳の場合は水着と帽子しかアイテムがないので、男性も帽子にチームロゴやマークなどをデザインして楽しむために、水泳帽をかぶるようになった。

Eさらに、流体力学的な観点から水の抵抗を軽減するために帽子が着用されるようになった。逆にスキンヘッドの選手なども現れるようになった。

 以上のように、歴史的な変遷をたどってみると水泳帽は遠泳等で指導上の必要から利用された形態が、その後プールにおいても踏襲されたようだ。また、最近ではスポーツをより楽しむという観点からファッションとしての水泳帽の価値から利用しようという形態も出来た。そして昔、丸坊主。今、長髪というように男性のライフスタイルも変化してきたことから男女を問わず水泳帽を被ることが一般化した。現在、多くの施設がプールの利用規定やその運用により、水泳帽の着用を義務付けていると言うことは、一体全体どの様な考えからなのだろうか?

 今や、プール設備の発達や濾過器の普及、濾過精度の高度化伴って以前ほど水質管理上から水永帽の着用の必要性は低減したと言っても過言ではないほど水質は良くなって来ているのも事実。プールの保守管理面でも、ほとんどの施設が営業終了後に水底を掃除するプール清掃用のロボットを利用して、毎日水底の清掃を行っている。また濾過器には、ヘヤーキャッチャー(集毛器)という装置がついており集毛もしており、オーバーフローシステムや自動給水システムにより随時プール表層の水がゴミ等と共に排水循環されているので、水質管理の観点からは帽子を被らなければ水質が維持できないということはない。そのように考えると、遊泳中に水泳帽を着用する理由は、あくまでも指導的な見地からの理由であり、それ以外の場合は考えにくいと言わざるを得ない。そういう意味では、水質の維持管理から水泳帽の着用を義務づけるのは、余りにも時代遅れと言わざるを得ない。現代では、水泳帽を着用するか否かは利用者の価値観と自己責任の問題であり、かぶった方が快適であれば被れば良いし、被らない方が快適であればかぶらなければよいのである。要は自由裁量すべき事柄であって、周りが一々ああせい、こうせいと言うべきものでもないと思うのである。ましてや規制緩和が叫ばれ、構造改革の時代である。スポーツを楽しむ上で必要な規制は少ないほどいい。スポーツを快適に楽しむためには、公序良俗に反しない限り、柔らか頭の発想で快適な環境の整備を行うべきある。水中歩行だけで顔や頭を水に付けることなくプールを利用する方が増加傾向にあるご時勢だけに、水泳帽ではなく水中運動用の帽子でもOK、髪の毛が邪魔にならない場合は帽子を被らなくても良いという判断がなされてもよいのではないか!?

 この際、業界発展の為にも設置者側の論理ではなく、いかに利用者が快適に利用できるかという観点から物事を見直してみることを提案したい。…抵抗勢力曰く「その考え方は、少々無謀(無帽)だと??」


(有)アクアヘルスコミュニケーションズ
大方 孝

 
 

 

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