AQUA HEALTH COMMUNICATIONS
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Vol.16 平成18年4月

 

指定管理者制度を検証する

「官から民へ」という規制緩和の流れに沿って「地方自治法の一部を改正する法律」が改正施行されて2年が経過し、「公の施設」が「管理委託制度」から「指定管理制度」に転換された。3月10日付けの日本経済新聞の記事によると、『自治体が保有する施設の管理を民間開放する「指定管理者制度」で実際に民間企業へ委託した比率は、14.1%にとどまっているとの調査結果が発表された。さらに、全体の48.9%が外郭団体などの公益団体へ委託しており、民間企業にとって参入障壁は依然高いようだ』(三菱総合研究所) そこで、本誌でも前号まで取り上げられていた指定管理者制度について、水中運動バカ一代の視点から制度導入後の動向を検証してみよう。

(1)行政の動向‥法改正直後の指定管理者制度に関する認識は、自治体間の違いや庁内部署によってもその反応はまちまちであった。とりわけ財政事情の厳しい地方自治体ほど関心が高く、庁内では、施設を所管する部署より行政改革の部署の反応が早いなど温度差があった。その結果、この制度を巡っては行政により出資法人への対応の仕方に差が出ている。

  1. 管理受託者から指定管理者に切り替えて指名し現状維持を図る。
  2. 公募競争に加わらせ人員削減や経費節減を条件に公募形式を取りながら指定管理者に誘導するケース。
  3. 出資法人に一部の限定した施設を指名し、組織の延命を図るケースや2〜3年の特命を示唆して猶予期間を与えるケースなども見られた。
  4. 民間事業者とのコンソーシアムやアライアンスを組んで公募を誘導するケースなど。何らかの形で出資法人を残して活用しようという工夫策も見られた。

 このような対応の背景には、首長の方針、行政改革の事情、出資法人の評価などの庁内事情に加えて施設の種別や規模、民間事業者の有無や能力と言った地域事情があると考えられる。そもそも、この制度の導入は、規制緩和・地方分権・行政サービスのあり方などが背景となっているが、現状では、職員の派遣先と再雇用嘱託職員の受け皿となる施設管理の受託団体であった出資法人の雇用の確保が第一という点は否めない。従来、官側は業務を指示する立場で、民間事業者は、委託先・発注先であり、作業を実施する立場であるという上下感覚が知らず知らずのうちに身についてしまっていることも事実で、競争原理を妨げる一因ともなっている。本来の狙いは、この制度導入を通じて『行政職員の意識改革が求められている』ことだ。さらに、今回の指定管理者制度は、PFI事業と同様に協定を締結してPPP(公民協働:Public Private Partnership)の関係で協働していくという認識が求められているという点を見逃してはならない。

(2)出資法人の戸惑い‥第二の行政と揶揄されるほどの存在である地方自治体の出資法人は、地方自治体の厳しい財政事情から行政改革の一環として人員削減や経費縮減を求められ、統廃合の議論はあったものの民間事業者との競争に負ければ解散の憂き目に遭遇するなどと言うことは、全くの想定外のことであった。さらに、競争相手となる民間事業者とは、清掃や警備、受付業務などの業務委託先であり、指示・命令する対象ですらあった。指定管理者制度が現実味を増してきた頃には、行政からの派遣職員は、行政に戻れることで一応安堵したが、出資法人の生え抜き職員はリストラの危機にさらされることに気づき、悲観論や楽観論の情報の下で一喜一憂している。

(3)民間事業者の参入状況‥法改正によって制度導入が図れたのは、駐車場・駐輪場・公園・体育施設など民間の管理実績のある施設や業務が簡易な施設であった。続いて福祉施設・コミュニティ施設などで、最近では病院・図書館・博物館などもその対象となっている。民間事業者側では、先ずビルメン業者が大型施設の管理に注目し、スポーツサービス業者は、スポーツ施設の応募に意欲を示した。最近では、参入に意欲的な事業者は、自社内に専門の部署を設置して情報収集や公募への取り組みを行っているところも多い。また、これらの参入業者を支援するコンサル会社やマネージメントする仕組みもあり、主要都市の大規模施設や複数施設の一括公募などを中心に競争が激化している。特に大規模施設の場合は、民間事業者間でそれぞれの専門性を活かしてコンソーシアム(共同参画)を構成して応募する態勢が取られている。
 全国で約40万施設、維持管理費で約10兆円ともいわれる「公の施設」。今回の法改正により民間にも参入する機会が与えられたことは極めて大きなビジネスチャンスと言えよう。さらに、今後大きなビジネスモデルと期待されている介護予防サービス事業なども注目されている。しかし、指定管理者制度は、「民営化」とは異なる。民間事業者は制度導入の前提である「公益性を確保」し、公共サービスを行政に代わって担うという「社会的使命」を自覚し認識することが希求されていることを肝に銘じる必要があろう。
 例えば、水中運動によって地域住民の健康を図り、高齢者の医療費 の削減や介護給付費の抑制を図 ろうという「立志」と、それを実行 に移し商業施設としての社会的  責任(CSR=Corporate Social Responsibility)を果たすこと。社会貢献が経営の1つの指標であるという企業倫理を確立することが、何よりもこの事業の成否の分岐点と言えるのではないでしょうか。
 なるほど、なるほど。最後まで、お読みいただきまして有り難うございました。如何でしたか? 今回は、指定管理者制度について区市町村の委託事業やプロポーザルに係わった経験から「水中運動バカ一代」なりの視点で検証してみました。次回は、指定管理者制度・参入戦略等の各論に迫って見たいと思っています。

(有)アクアヘルスコミュニケーションズ
大方 孝

 
 

 

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